特別管理産業廃棄物は、爆発性・毒性・感染性などを有し、通常の産業廃棄物よりも厳格な管理が求められる廃棄物です。このような廃棄物を排出する事業者には、「特別管理産業廃棄物管理責任者」の選任が義務付けられています。
廃棄物処理法および関連法令に基づいて、特別管理産業廃棄物管理責任者の種類・役割・資格要件・選任義務・自治体ごとの違いなどを詳しく解説します。
特別管理産業廃棄物管理責任者とは
特別管理産業廃棄物管理責任者とは、事業場における特別管理産業廃棄物の適正処理を統括する責任者です。
この制度は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」第12条の2第8項に基づき規定されています。
廃棄物処理法からの引用です。
(事業者の特別管理産業廃棄物に係る処理)
8 その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る当該特別管理産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければならない。ただし、自ら特別管理産業廃棄物管理責任者となる事業場については、この限りでない。
環境省も特別管理産業廃棄物を排出する事業場ごとに選任義務あり、管理全般を適正に実施する責任者を置く必要ありと示しています。
特別管理産業廃棄物管理責任者の種類
特別管理産業廃棄物管理責任者は、大きく次の2種類に分かれています。
感染性産業廃棄物に係る責任者
主として、医療機関等で発生する感染性廃棄物に対応する責任者です。
感染性以外の特別管理産業廃棄物に係る責任者
- 感染性以外の特別管理産業廃棄物に係る責任者は次のような廃棄物が対象です。
- 廃油(有害性の高いもの)
- 廃酸・廃アルカリ
- PCB廃棄物
- 廃石綿(アスベスト)
- 特定有害産業廃棄物など
これらの種類によって資格要件が異なります。
特別管理産業廃棄物管理責任者の役割
責任者の役割は、単なる名義人ではなく、実務の中核です。
- 特別管理産業廃棄物管理責任者の業務は次のとおりです。
- 排出状況の把握
- 処理計画の策定
- 保管状況の管理
- 委託業者の選定・適正委託
- マニフェスト管理(交付・保存)
環境省によれば廃棄物処理法に基づく管理業務全般とされています。
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格要件
資格要件は、廃棄物処理法施行規則 第8条の17に詳細に規定されています。
感染性産業廃棄物
- 感染性産業廃棄物の管理責任者の資格要件は次のいずれかに該当する者です。
- 医師、歯科医師、薬剤師、看護師などの医療資格者
- 環境衛生指導員(2年以上)
- 医学・薬学・保健学等の課程修了者など
このように医療系資格者が中心です。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則からの引用です。
(特別管理産業廃棄物管理責任者の資格)
第八条の十七 法第十二条の二第九項の環境省令で定める資格は、次の各号に定める区分に従い、それぞれ当該各号に定めるものとする。
一 感染性産業廃棄物を生ずる事業場
イ 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師又は歯科衛生士
ロ 二年以上法第二十条に規定する環境衛生指導員の職にあつた者
ハ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学若しくは高等専門学校、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学若しくは旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)に基づく専門学校において医学、薬学、保健学、衛生学若しくは獣医学の課程を修めて卒業した者(当該課程を修めて同法に基づく専門職大学の前期課程を修了した者を含む。)又はこれと同等以上の知識を有すると認められる者

感染性以外の場合
学歴などと実務経験に応じて要件が細かく規定されています。
| 資格・学歴 | 課程 | 修了した科目・学科 | 廃棄物の処理の技術上の実務経験 |
|---|---|---|---|
| 環境衛生指導員 | 2年以上 | ||
| 理学、薬学、工学、農学 | 衛生工学、化学工学 | 2年以上 | |
| 大学 | 理学、薬学、工学、農学、これらに相当する課程 | 衛生工学、化学工学以外 | 3年以上 |
| 短大・高専 | 理学、薬学、工学、農学 | 衛生工学、化学工学 | 4年以上 |
| 短大・高専 | 理学、薬学、工学、農学、これらに相当する課程 | 衛生工学、化学工学以外 | 5年以上 |
| 短大・高専 | 理学、農学、工学に関する科目、これらに相当する科目 | 7年以上 | |
| (学歴要件なし) | 10年以上 | ||
| 上記と同等以上の知識を有すると認められる者 |
技術者・実務経験者が対象です。
講習会による代替要件
多くの自治体では産業廃棄物処理振興センターの講習会修了者が認められています。
実際には「講習修了」で充足するケースが多いです。
産業廃棄物処理振興センターのホームページからの引用です。
廃棄物処理法に定められている特別管理産業廃棄物管理責任者になろうとする方などが、特別管理産業廃棄物に係わる管理全般にわたる業務を適切に遂行するために必要な知識を修得することを目的としています。
特別管理産業廃棄物に係わる管理全般にわたる業務を適切に遂行するために必要な知識を修得していただくことを目的としています。
廃棄物処理法に定められている特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得されたい方などが対象です。
選任義務
選任義務ですが、これは必須です。必ず必要です。
特別管理産業廃棄物を排出する事業場ごとに選任しなければなりません。
これは廃棄物処理法第12条の2第8項に明記されています。
廃棄物処理法からの引用です。
(事業者の特別管理産業廃棄物に係る処理)
第十二条の二
8 その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る当該特別管理産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければならない。ただし、自ら特別管理産業廃棄物管理責任者となる事業場については、この限りでない。
選任単位
上記で「当該事業場ごとに」とあるとおり、会社単位ではなく「事業場単位」です。すなわち、工場・支店ごとに必要です。ここが、よく間違われるポイントです。
未選任のリスク
未選任の場合のリスクですが、罰則(30万円以下の罰金)があります。
自治体による違い
特別管理産業廃棄物管理責任者制度は、全国共通の法律と自治体運用で成り立っています。
届出の要否
特別管理産業廃棄物管理責任者の届出は、不要とする自治体もあれば、必要な自治体もあります。
産業廃棄物処理振興センターの講習会の取扱い
講習修了者を資格として認定するかは自治体ごとの判断となっています。講習会の位置づけですが、資格要件は廃棄物処理法施行規則 第8条の17でで定められており、学歴+実務経験・医療資格などが原則ですが、その中に「同等以上の知識を有する者」というのがあります。講習会は、その「同等以上の知識を有する者」という位置づけになりますので講習修了は必須ではなく、あくまで“代替要件”ということです。
しかし、実際には、講習修了者を資格要件を満たす者として認定している自治体が多いのも事実です。
独自要綱
たとえば、東京都は独自要綱で詳細規定があります。必ず所在地自治体のルール確認が必要です。
まとめ
最後に、実務で特に重要なポイントを整理します。
特管責任者は「必須制度」であり、事業場ごとに設置が必要です。資格要件はかなり細かいですが、実際には「講習会修了」での対応が多くなっています。ただし、自治体ごとに運用差がありますので注意が必要です。
特に、「事業場単位」「自治体による差」はうっかりミスしてしまうことが多いので要注意です。
Q&A
まとめを兼ねて、Q&Aをつくりました。参考にしてください。



