産廃収集運搬許可と電子マニフェストについてメリットや利用方法、義務化も解説

コラム

産業廃棄物を取り扱う事業者にとって、「産廃収集運搬許可」と「マニフェスト制度」は関連性の高い制度になっています。

紙のマニフェストに代わって、電子マニフェストの利用が多くなっており、法令上の義務や実務対応について正しく理解しておく必要があります。

産廃収集運搬許可の基礎から、電子マニフェストの仕組み、メリット、利用方法、そして義務化までを詳しく解説します。

産廃収集運搬許可とは

産廃収集運搬許可の概要

産業廃棄物収集運搬業許可とは、他人の産業廃棄物を収集・運搬するために必要な許可で、廃棄物処理法(廃掃法)第14条に基づいて、都道府県知事(または政令市長)から取得します。

許可は、積替え保管を含まない収集運搬業と積替え保管を含む収集運搬業があります。

また、取り扱う産業廃棄物の種類(燃え殻、汚泥、廃プラスチック類など)ごとに許可が必要です。

主な目的は、廃棄物の適切な処理を確保して、不法投棄などの環境破壊を防止することにあります。許可を取得するには、講習会の受講や経理的基礎(財務状況)、車両や資材などの「能力」と「適格性」が厳しく審査されます。

マニフェスト制度との関係

産廃収集運搬業者は、排出事業者から交付されたマニフェストに基づいて運搬を行う義務があります。このマニフェスト制度は、不法投棄防止と適正処理の確保を目的とした、産廃処理の根幹となる制度です。

  • 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)では、目的として次のように記載されています。
    • 産業廃棄物の行き先を管理し、不法投棄を未然防止
    • 紙マニフェストと電子マニフェストから選択(いずれにせよ、マニフェストは必要)

JWセンターは、産業廃棄物の適正処理と資源循環を推進するため、電子マニフェスト制度の全国唯一の運営主体(情報処理センター)としてシステムを管理して、講習会開催、情報発信、調査などを通じて、環境保全と循環型社会の形成に貢献する団体です。

電子マニフェストとは

マニフェスト(産業廃棄物管理票)とは、廃棄物の処理が最後まで適正に行われたかを確認するための伝票です。

電子マニフェストの定義

電子マニフェストとは、紙の産業廃棄物管理票(マニフェスト)に代えて、公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWNET)が運営する「情報処理センター」を利用し、インターネット上でマニフェスト情報を登録・管理する制度です。

法的には、廃掃法第12条の5および関連省令に基づく制度です。

紙マニフェストとの違い

項目紙マニフェスト電子マニフェスト
交付方法複写式伝票インターネット入力
保存義務5年間(紙)電子データで自動保存
記載ミス手書きで起こりやすい入力チェックあり
報告義務別途集計が必要自動集計・報告

電子マニフェストのメリット

事務作業の大幅な効率化

紙マニフェストでは、交付・回収・保管・集計と多くの手間がかかりますが、電子マニフェストでは入力・確認・保存が一元化され、事務負担が大幅に軽減されます。

法令違反リスクの低減

入力時の必須項目チェックや期限管理により、記載漏れ、返送遅延、保存漏れなどの法令違反リスクを減らすことができます。

行政報告が自動化される

紙マニフェストの場合、毎年6月30日までに「産業廃棄物管理票交付等状況報告書」を提出する必要がありますが、電子マニフェストを利用している場合、この報告が原則不要になります。

排出事業者からの評価向上

電子マニフェスト対応業者は、コンプライアンス意識が高いと評価されやすく、取引先の選定で有利になることもあります。

電子マニフェストの利用方法

利用開始までの流れ

産廃収集運搬許可で電子マニフェストを利用するには、次の手続きが必要です。

  1. JWNETへの加入申請
  2. 利用者IDの取得(排出事業者・収集運搬業者・処分業者それぞれ)
  3. 初期設定・操作研修(任意)
  4. 実運用開始

産廃収集運搬業者単独では利用できず、排出事業者・処分業者も電子マニフェストに対応している必要があります。

電子マニフェストの義務化について

現在の法的位置づけ

現時点では、電子マニフェストの利用は原則として「任意」であって、紙マニフェストも引き続き法的に有効です。

ただし、一部義務化されているケースもあります。国や自治体が発注する公共工事、大手企業・元請業者の取引条件、特定の業界団体ルールなどのケースでは電子マニフェストが実質的に義務化されている場合もあります。

今後、国は電子マニフェストの普及率向上を政策目標としており、将来的に義務化の範囲が拡大する可能性はあります。

電子マニフェストの「任意」と「義務化」について

基本的に紙マニフェスト・電子マニフェストを含めて、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を関係者が使用することは、廃棄物処理法において義務です。これを怠ると罰則(刑事罰、行政処分)の対象になります。

排出事業者は他人に産業廃棄物の運搬・処分を委託する場合、法令で定められた産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付しなければなりません。

「マニフェスト(産業廃棄物管理票)の使用義務」は廃棄物処理法で定められている義務であり、罰則も定められています。この義務を満たす手段として、紙マニフェストでも電子マニフェストでも良いというのが基本です。どちらでもよいがマニフェストは義務ですということです。

紙でも電子でも、マニフェストを交付し管理しなければなりませんので、マニフェスト制度自体を使わないことは違法となり、罰則対象となります。

紙マニフェストを使うのか、電子マニフェストを使うかについては基本的に排出事業者等の選択(任意)の制度です。