特別管理産業廃棄物とは?資格・手続き・処理方法などを徹底解説

コラム

特別管理産業廃棄物は、爆発性・毒性・感染性など、人の健康や生活環境に重大な被害を及ぼすおそれのある産業廃棄物として、通常の産業廃棄物よりも厳格な管理が法律で義務付けられています。

排出事業者には、専任の管理者の選任や特別な処理基準の遵守などの責任が課されます。「特別管理産業廃棄物とは何か」という基礎から、具体例、管理者になるための資格、届出・手続き、処理方法、違反時の罰則までをわかりやすく解説します。

特別管理産業廃棄物は、事業者にとって法的責任が重い分野です。正しい知識と体制整備が不可欠であり、早い段階で行政書士などの専門家の関与を検討することが、コンプライアンス確保への近道といえるでしょう。

特別管理産業廃棄物とは

特別管理産業廃棄物とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づいて、産業廃棄物のうち「特に人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するもの」として区分された廃棄物をいいます。

その性質上、通常の産業廃棄物とは区別して、より厳しい排出・保管・運搬・処分の基準(特別管理基準)が適用されます。

廃棄物処理法 第2条

廃棄物処理法 第2条からの定義の引用です。

廃棄物処理法 第2条(定義)

3 この法律において「特別管理一般廃棄物」とは、一般廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。

廃棄物処理法施行令

特別管理産業廃棄物の具体的な種類(感染性産業廃棄物、特定有害産業廃棄物など)を規定しています。

通常の産業廃棄物と比較して、爆発性・毒性・感染性・腐食性などの危険性が高いため、保管・収集運搬・処分のすべての段階で、より厳しい規制が課されています。

特別管理産業廃棄物の例

特別管理産業廃棄物の具体例は、廃棄物処理法施行令 第2条において定められています。

大きく分けて「特定有害産業廃棄物」と、それ以外の「感染性・引火性・腐食性」を持つものに分類されます。

感染性産業廃棄物

医療機関等から排出される廃棄物で、感染のおそれのあるもの(注射針、血液など)です。病院などの血液・体液が付着した注射針、メス、ガーゼなどが該当します。

廃油(引火性を有するもの)

揮発性・引火性が高く、火災や爆発のおそれがある廃油です。灯油、軽油など(引火点70℃未満)です。

(関連法令)廃棄物処理法施行令 第2条の4 第2号

廃酸・廃アルカリ

著しい腐食性を有しており、人の健康や生活環境に被害を及ぼすおそれがあるものが該当します。pH2.0以下の酸、pH12.5以上のアルカリなどです。PCB汚染物、廃石綿(アスベスト)、有害な重金属を含む汚泥などもこれにあたります。

(関連法令)廃棄物処理法施行令 第2条の4 第3号

特定有害産業廃棄物

PCB廃棄物、廃石綿(アスベスト)など、特に有害性が高いものが指定されています。有害な重金属を含む汚泥などもこれに該当します。

(関連法令)廃棄物処理法施行令 第2条の4 第4号

特別管理産業廃棄物管理責任者とは

特別管理産業廃棄物を排出する事業者は、事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を選任(配置)しなければなりません

特別管理産業廃棄物排出事業者は、事業場ごとに、当該特別管理産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、特別管理産業廃棄物管理責任者を置くことになっています。

廃棄物処理法 第12条の2 第8項からの引用です。

廃棄物処理法 第12条の2
8 その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る当該特別管理産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければならない。ただし、自ら特別管理産業廃棄物管理責任者となる事業場については、この限りでない。

管理責任者は、適正な保管・処理の管理・委託先業者の監督・マニフェスト管理・法令遵守体制の構築といった重要な役割を担います。

特別管理産業廃棄物管理責任者になるには(資格)

特別管理産業廃棄物管理責任者になるために国家資格は不要ですが、廃棄物処理法施行規則で定められた要件を満たす必要があります。

主な要件

  • 特別管理産業廃棄物管理責任者の主な要件は次のとおりです。
    • 医師、歯科医師、薬剤師、看護師等の医療関係資格者
    • 大学等で衛生工学、化学、薬学等の課程を修了した者
    • 都道府県知事等が実施する特別管理産業廃棄物管理責任者講習会を修了した者

実務上は、講習会を修了して選任されるケースが最も一般的です。

管理責任者の選任届出

特別管理産業廃棄物管理責任者を選任・変更した場合、排出事業者は所轄行政庁へ届出を行う必要があります。

届出のポイント

  • 管理責任者の選任の届出のポイントは次のとおりです。
    • 選任・変更後、遅滞なく提出すること
    • 届出先は事業場所在地を管轄する都道府県知事または政令市長
    • 講習会修了証の写しの添付を求められることが多い

特別管理産業廃棄物の保管基準

特別管理産業廃棄物の保管基準は、廃棄物処理法などで通常の産業廃棄物より厳格に定められています。

主な保管基準

  • 特別管理産業廃棄物の主な保管基準は次のとおりです。
    • 容器は密閉構造であること
    • 内容物・特別管理産業廃棄物である旨の表示
    • 他の廃棄物との混合禁止
    • 周囲への流出・飛散・悪臭防止措置

特別管理産業廃棄物の処理方法

特別管理産業廃棄物の処理は、原則として、都道府県知事等の許可を受けた特別管理産業廃棄物処理業者に委託しなければなりません

主な処理方法

  • 特別管理産業廃棄物の主な処理方法は次のとおりです。
    • 焼却処理(感染性産業廃棄物)
    • 中和処理(廃酸・廃アルカリ)
    • 無害化処理(PCB等)

排出事業者は、委託後も排出事業者責任を免れない点に注意が必要です。

マニフェスト(管理票)の取り扱い

特別管理産業廃棄物については、原則としてマニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が義務付けられています

電子マニフェストの利用も認められており、管理の効率化や法令遵守の観点から積極的な導入が推奨されます。

違反した場合の罰則

特別管理産業廃棄物に関する義務違反には、通常の産業廃棄物より重い罰則が科されることがあります。

廃棄物処理法 第25条第五章 罰則と第32条に規定されています。

主な法的根拠

不法投棄、不適正処理、無許可業者への委託などになります。

想定されるリスク

  • 特別管理産業廃棄物で違反した場合の想定されるリスクは次のとおりです。
    • 懲役刑・罰金刑
    • 行政処分(改善命令、事業停止等)
    • 社会的信用の失墜