収集運搬許可の仕組みと排出時の注意点を法令根拠(廃棄物処理法)から罰則まで詳しく解説します。
オフィスや店舗から出るゴミは、家庭ごみとは扱いがまったく異なります。適切に処理しなければ、排出事業者が罰則の対象になることもあります。
事業活動を行う企業・個人事業主にとって、廃棄物の適正処理は基本的な義務です。中でも「事業系一般廃棄物」は日常的に生じるごみでありながら、処理方法や許可制度で混同しやすい部分もあります。
「事業系一般廃棄物」の定義から、 一般廃棄物収集運搬許可(運搬許可)の制度、処分との違い、注意点、そして罰則まで、法律(廃棄物の処理及び清掃に関する法律・廃掃法)の条文を踏まえてわかりやすく解説します。

事業系一般廃棄物とは
事業系(事務系)一般廃棄物とは、会社・商店・オフィス等の事業活動に伴って生じる「一般廃棄物」のことをいいます。
廃掃法では廃棄物を大きく「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類しており、一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物をいうと定義しています。
一般廃棄物はさらに家庭から出る日常のごみの家庭系一般廃棄物と事業活動に伴って発生する企業等のごみで、産業廃棄物に該当しないものの事業系一般廃棄物に分けられています。
たとえば、事務所の紙くず、飲食店の生ごみ、店舗などで出る包装ゴミなどがこれに当たります。
産業廃棄物と区分されるもの(燃え殻・汚泥・廃油・廃プラスチック類等20種類)は産業廃棄物となり、別の処理制度が適用されます。
このように事業系一般廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、産業廃棄物以外のものを指します。
また「事業活動」には、営利目的の企業だけでなく、病院、学校、官公庁、NPOなども含まれます。
一般廃棄物収集運搬許可とは
一般廃棄物収集運搬許可とは、事業系一般廃棄物の収集・運搬を業として行うために、 市町村長の許可を受ける制度です。
廃掃法第7条で次のように定められています。
(一般廃棄物処理業)
第七条 一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
許可権者は市町村長(自治体ごとに申請方法や要件が異なる)となり、自社で自ら運ぶ場合は原則許可不要ですが、ただし自治体条例等の規制が別途ある場合もあります。許可は更新制で、車両等の能力や処理計画等の審査が行われます。
許可の単位は市区町村ごとですが、A市で回収しB市で積み替えるなら、両方の許可が必要になります。
運搬許可と処分許可の違いとどちらに依頼すべきか
一般廃棄物収集運搬許可は、ごみを収集・運搬する(ゴミを積み込み、処理施設まで運ぶための)許可で運搬を業として行う業者が取りますが、一般廃棄物処分許可は、ごみを最終処分・処理するための(焼却、破砕、リサイクルなどを行うための)許可です。ごみを焼却・埋立などで処分する業者となります。
どちらに依頼すべきか?ということですが、事業系一般廃棄物を回収・運搬だけ行う場合であれば収集運搬許可のある業者へ依頼して、事業系一般廃棄物を焼却・埋立等で処理する場合は処分許可のある業者へ依頼することになります。多くのケースでは事業者は収集・運搬だけを委託して、処理そのものは自治体や処分業者に委託します。
上でも書きましたが、「収集運搬業者」に依頼するのが一般的です。
事業系一般廃棄物を出す時の注意点
家庭ごみ集積所には出せない
事業系一般廃棄物は家庭系ごみの集積所に出すことは原則禁止されており、自治体条例違反・不法投棄扱いになる場合があります。
自己処理責任
廃掃法第3条で「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と規定されています。
(事業者の責務)
第三条 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
2 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製品、容器等が廃棄物となつた場合における処理の困難性についてあらかじめ自ら評価し、適正な処理が困難にならないような製品、容器等の開発を行うこと、その製品、容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により、その製品、容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。
委託する相手の許可確認
収集運搬を委託する場合、許可を持つ業者であることを必ず確認しましょう。許可を持つ業者にしか出せません。
分別ルールと条例遵守
各自治体が独自に細かい分別ルールを設けているため、自治体の指導に従って分別・排出する必要があります。

罰則
廃掃法では無許可営業や不適正な処理に対して厳しい罰則が定められています。
無許可で収集・運搬を業として行った場合
5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人の場合はさらに重い罰金が科されることがあります)。
不法投棄・不正処理
5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金。
委託基準違反・再委託禁止違反(不適正な業者への委託など)
3年以下の懲役または300万円以下の罰金等。
事業者側責任
適正な許可を持たない業者に処理を委託した場合でも、事業者に責任が及ぶことがあり、法令順守が重要です。
事業系一般廃棄物の「排出者責任」というのがあります。業系一般廃棄物を出す側には、法律で定められた重い責務があります。
廃棄物処理法第3条第1項
事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
市区町村の家庭ごみ集積所に勝手に出すことは、たとえ少量であっても原則として認められません。
一般廃棄物収集運搬許可に依頼しない場合の対応方法
「一般廃棄物収集運搬許可業者や一般廃棄物処分許可業者に依頼しない場合、どうすればよいのか?」について、法的根拠を踏まえて整理します。
前提として、事業系一般廃棄物は排出事業者が自らの責任で処理しなければならないとされています。
根拠としては廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)第3条第1項です
事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
つまり、許可業者に委託しない場合でも、処理義務そのものがなくなるわけではありません。
自ら処理施設へ搬入する(自己搬入)
もっとも一般的なのが自治体の処理施設へ自ら持ち込む方法です。
「業として」収集運搬を行う場合に市町村長の許可が必要(廃掃法第7条)ですが、自社の廃棄物を自ら運ぶ場合は「業」に該当しないため許可不要になります。
ただし自治体の受入基準に従う必要があります。事前予約・搬入時間制限がある自治体も多くありますし、搬入手数料がかかるところが多くあります。
自社で処分する
理論上は、自社で焼却・破砕等の処分を行うことも可能ですが、ハードルが高い方法になります。
廃掃法第8条では一般廃棄物処理施設を設置する場合は都道府県知事等の許可が必要となっています。つまり、焼却炉設置・大規模処理施設設置などを行う場合は施設設置許可が必要となり、現実的にはかなりむずかしくなります。そのため、実務上はほとんど採用されません。
市町村の直接収集制度を利用する
自治体によっては、有料で事業系ごみを収集している指定袋制度を設けています。
この場合は自治体が処理主体となるため、民間の収集運搬許可業者に依頼する必要はありません。
ただし、すべての自治体で実施しているわけではありませんし、少量排出事業者に限定されるケースが多いのが実態です。
棄物指定袋制度(指定ごみ袋制度)とは、自治体が定めた色・材質・規格の袋を、家庭や事業所のごみ出しに利用する義務を課す制度です。最大の目的は分別の徹底によるごみの減量・資源化です。ごみ処理手数料を上乗せする「有料指定袋制度」と、単純に袋の規格だけを定める「単純指定袋制度」の2種類があります。
禁止行為
許可業者に依頼しないからといって、家庭ごみ集積所に出したり、無許可業者へ委託したり、自己敷地内で野焼きする行為は違法です。
・廃掃法第16条(不法投棄禁止)
(投棄禁止)
第十六条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
・廃掃法第25条(罰則:5年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金)
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
事業系一般廃棄物を家庭ごみとして出す行為は、条例違反だけでなく不法投棄と評価される可能性があります。
実際には、許可業者に依頼しない場合の現実的選択肢は、自治体処理施設へ自己搬入するか自治体の有料収集制度を利用するかのどちらかになると思います。



