産業廃棄物収集運搬業の許可を新規取得したい方へ|まず確認すべき7つのポイントを行政書士が解説

コラム

「取引先から、産廃の収集運搬許可を取ってほしいと言われました」
「新しく産業廃棄物の運搬事業を始めたい、何から準備すればよいですか?」
産業廃棄物収集運搬業の新規許可について、このようなご相談があります。

初めて許可を取得する方からすると、

  • トラックがあれば許可を取れるのでは?
  • 講習会を受ければ申請できる?
  • 会社を作ったばかりでも大丈夫?
  • 東京都の許可を取れば、全国で運搬できる?

など、分からないことが多いと思います。

しかし、新規許可申請で最初にやるべきことは、
申請書を書くことではありません。

まず確認すべきなのは、「どこから、何を、どこまで運ぶのか」です。

ここが決まらなければ、
必要な許可も、申請する自治体も、必要な車両や容器も決まりません。

さらに、

  • 通常の産業廃棄物なのか
  • 特別管理産業廃棄物なのか
  • 積替え保管を行うのか

によっても、必要な許可や準備は大きく変わります。

この記事では、産業廃棄物収集運搬業の許可を初めて取得しようと考えている事業者向けに、申請前に確認しておきたいポイントを東京都の取扱いを中心に解説します。

※本記事は東京都の手引を基準にしています。許可申請の方法や必要書類、自治体独自の運用については地域によって異なる場合があります。実際の申請では、申請先自治体の最新の手引をご確認ください。

産業廃棄物収集運搬業許可が必要なのはどんな場合?

まず確認したいのは、「本当に産業廃棄物収集運搬業の許可が必要なのか」という点です。典型的なのは、排出事業者から委託を受け、他人の産業廃棄物を収集・運搬する場合です。

例えば、

  • 工場から出た廃プラスチックを処分場まで運んでほしい
  • 建設現場から出た産業廃棄物を中間処理施設まで運んでほしい

という依頼を受け、事業として収集運搬を行うケースです。

一方、自社から発生した産業廃棄物を自社で運搬する場合など、
収集運搬業許可の要否が異なるケースもあります。

そのため、「廃棄物を運ぶ=必ず収集運搬業許可が必要」と考えるのではなく、誰が排出した廃棄物を、誰から依頼されて運ぶのかを最初に整理することが重要です。

最初に「どこから、何を、どこまで」を確認

新規許可を検討する際に、最初に確認しておきたいのは、会社の決算書や車検証ではありません。次の3点です。

① どこから ② 何を ③ どこまで

例えば、

東京都内の建設現場から出る(①)廃プラスチック類、木くず、がれき類を(②)、千葉県内の中間処理施設まで運びたい(③)

ここまで分かると、必要な許可の全体像が見えてきます。

反対に、「とりあえず産廃許可を取りたい」だけでは、
申請内容を決めることができません。

産業廃棄物収集運搬業の許可は、
何でも、どこでも運べる万能免許ではありません。

どの区域で、どの種類の産業廃棄物を取り扱うのかを
整理したうえで申請する必要があります。

新規許可取得では、「申請書をどう書くか」よりも、
「どの許可を取るべきか」を最初に設計することが重要です。

東京都の許可だけで全国を運搬できるわけではない

初めて許可を取得する方から、
「東京都の許可を取れば、他県にも運べますか?」と聞かれることがあります。
ここは新規取得で非常に重要なポイントです。

収集運搬業の許可は、
運搬する区域を踏まえて必要な自治体の許可を検討します。

例えば、
【東京都内の排出場所】→【千葉県内の処分施設】へ産業廃棄物を運搬する
のであれば、「東京都の許可だけ取れば終わり」とは限りません。

どの自治体の許可が必要なのかは、
産業廃棄物を【積み込む場所】と【積み卸す場所】などを
確認して判断する必要があります。

そのため、新規許可を検討するときは、
「会社の所在地がどこか」だけではなく、
実際にどこで廃棄物を積み、どこで降ろすのか
を整理することが重要です。

複数の都道府県にまたがって仕事をする予定がある場合は、最初から必要な許可をまとめて検討した方が、その後の営業もしやすくなります。

取り扱う産業廃棄物の種類を決める

次に確認するのが、取り扱う産業廃棄物の種類です。

ここでよくあるのが、
「将来使うかもしれないので、全部取っておきたい」というご相談です。

しかし、許可申請では、
実際の事業計画に基づいて取り扱う産業廃棄物を整理する必要があります。

例えば建設関係であれば、

  • 廃プラスチック類
  • 木くず
  • 金属くず
  • ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
  • がれき類

などが候補になることがあります。

ただし、「建設業だからこの5品目」と機械的に決めるものではありません。

実際に、

  • どのような現場から
  • どのような廃棄物が出て
  • どの処分施設へ運ぶのか

を確認して決めます。

ここを曖昧にしたまま許可を取得すると、後になって、
「新しい仕事を受注したのに、その廃棄物が許可品目に入っていなかった」
ということになりかねません。

許可取得時の品目設計は、その後の営業範囲にも関わります。

特別管理産業廃棄物ではないかを確認する

もう一つ重要なのが、
通常の産業廃棄物なのか、特別管理産業廃棄物なのかという確認です。

例えば、廃石綿等、感染性産業廃棄物、一定の廃油・廃酸・廃アルカリなど、
性状によって特別管理産業廃棄物に該当するものがあります。

特別管理産業廃棄物を取り扱う場合には、
通常の産業廃棄物収集運搬業許可とは別に、
特別管理産業廃棄物収集運搬業許可を検討する必要があります。

「産廃の許可を持っているから何でも運べる」というわけではありません。

特に、

  • 石綿関係
  • 医療系廃棄物
  • 廃油
  • 廃酸
  • 廃アルカリ

などを取り扱う予定がある場合は、
申請前に廃棄物の性状まで確認することが重要です。

判断が難しい場合には、排出事業者から性状や発生工程について資料をもらい、
申請先自治体へ確認することも検討します。

「積替え保管あり・なし」で手続は大きく変わる

新規許可相談で必ず確認するのが、
「途中で一度、自社の敷地に降ろしますか?」という点です。

排出場所から収集した産業廃棄物をそのまま処分施設へ運ぶのであれば、
通常は「積替え保管を除く」収集運搬を検討します。

一方、

  • 一度、自社ヤードに持ち帰りたい
  • ある程度たまってから大型車へ積み替えたい
  • 倉庫や敷地で一時的に保管したい

という場合には、積替え保管に該当する可能性があります。

東京都の手引では、「積替え保管を含む許可」を申請する場合、
許可申請書を提出する前に「事前計画書(収集運搬業積替え保管施設用)」を
提出する手続が示されています。

つまり、「とりあえず通常の収集運搬許可を取って、後からヤードに置けばよい」とは考えない方がよいでしょう。

積替え保管を予定しているのであれば、通常の「積替え保管なし」の新規許可とは分けて、施設や保管方法を含めて計画する必要があります。

ここは新規取得の段階で必ず確認しておきたいポイントです。

車両があれば許可を取れるわけではない

「トラックはもう用意しています」
新規許可の相談では、このようなお話もよくあります。
もちろん、運搬車両は重要です。

しかし、トラックを所有しているだけで許可を取得できるわけではありません。

取り扱う産業廃棄物に応じて、

  • どの車両を使用するのか
  • 飛散や流出を防止できるか
  • 必要な運搬容器を用意しているか

などを確認します。

例えば、
泥状・液状の廃棄物と、固形のがれき類では、
適切な運搬方法は同じではありません。
東京都の申請書類にも、事業計画、運搬車両の写真、
運搬容器等の写真などが含まれています。

つまり、「車を持っているから、その車に合わせて許可を取る」というより、
「何を運ぶのかを決め、その廃棄物を適正に運搬できる車両・容器を用意する」
という順番で考える方が分かりやすいでしょう。

新規許可申請では講習会の受講が必要

新規許可申請では、申請に必要な講習会修了証を準備します。

東京都の手引では、講習会を修了する者について、

  • 個人の場合は申請者本人
  • 法人の場合は代表者、一定の役員または政令使用人

とされています。

また、通常の産業廃棄物収集運搬業を新規申請する場合は、
原則として産業廃棄物の収集・運搬課程の新規講習会修了証が必要で、
新規講習会修了証の有効期限は5年、
新規許可申請では申請日に有効な修了証が必要とされています。

すでに他自治体で一定の許可を持っている場合などには、
更新講習会修了証を利用できるケースもありますので、
既存許可がある場合は別途確認します。

新規取得を考え始めた段階で、
「誰が講習会を受講するのか」を決めておくことが重要です。

赤字・債務超過でも新規許可を取れる?

「会社が赤字なのですが、許可は取れますか?」
これもよくあるご相談です。

産業廃棄物収集運搬業の許可では、
知識・技能だけでなく、事業を継続して行うための経理的基礎も審査されます。

そのため、「赤字だから必ず不許可」とも、
「会社が営業しているから問題ない」とも一概には言えません。

決算状況によっては、
追加資料や経理的基礎についての説明が必要になる場合があります。

特に債務超過などがある場合は、
申請書を作成してから問題に気付くのではなく、
申請前に決算書を確認することが重要です。

新規取得の相談では、
会社の財務状況も早い段階で確認しておくと、その後の準備がスムーズです。

役員などの欠格要件にも注意

新規許可では、申請会社だけを審査するわけではありません。

申請者の役員等について、
法律上の欠格要件に該当しないことも許可の重要な条件です。

東京都の手引でも、申請受理後に申請者、役員等、一定の株主等や政令使用人が欠格要件に該当すると判明した場合には、不許可となる旨が示されています。

そのため、新規許可を検討するときは、「会社に問題がないか」だけではなく、
許可審査の対象となる役員等についても確認する必要があります。

役員数が多い会社や株主構成が複雑な会社では、
申請直前ではなく早めに確認しておく方が安全です。

申請してから許可が出るまで営業できる?

ここは、新規取得を検討している方に、
必ず知っておいていただきたいポイントです。

新規許可申請は、「申請した=営業できる」ではありません。

新規の場合は、必要な許可を取得してから、
許可の範囲内で収集運搬業を開始することになります。

東京都の手引では、審査の標準処理期間について、
申請書受理後60日とされています。

さらに、手引には、予約できる日時が1~2か月以上先になることもあるため、
余裕をもって予約するよう案内されています。

つまり、「来月から新しい取引先の産廃を運びたいので、今月申請します」では間に合わない可能性があります。

新規許可取得では、

  • 講習会
  • 事業計画の整理
  • 必要書類の収集
  • 申請予約
  • 申請
  • 審査
  • 許可

という時間を考える必要があります。

新しい契約や事業開始日が決まっている場合は、
できるだけ早く許可取得のスケジュールを逆算することが重要です。

行政書士へ相談するメリット

新規許可申請で行政書士へ相談するメリットは、
申請書を代わりに作成してもらうことだけではありません。

むしろ最初に重要なのは、
「何の許可を、どこで、どの範囲まで取るべきか」を整理することです。

例えば、

  • 東京都の許可だけでよいと思っていたが、千葉県の許可も必要だった
  • 通常の産廃だけだと思っていたが、特別管理産業廃棄物の検討も必要だった
  • 積替え保管なしで申請する予定だったが、実際の事業計画では自社ヤードへ一度降ろす予定だった
  • 必要な品目が申請内容から漏れていた

こうした問題は、申請書を書き始めてからではなく、
事業計画を整理する段階で確認した方がスムーズです。

新規許可では、

① 誰の廃棄物を運ぶのか
② どこで積むのか
③ 何を運ぶのか
④ どこで降ろすのか
⑤ どの車両・容器で運ぶのか
⑥ 積替え保管を行うのか
⑦ いつから事業を開始したいのか

を整理すると、必要な許可の全体像が見えてきます。

行政書士へ相談する場合も、
この7点が分かっていると話が非常にスムーズです。

よくある質問

Q
会社を設立したばかりでも申請できますか?
A

会社設立直後だから一律に申請できないというものではありません。
ただし、経理的基礎を含め、申請時の状況に応じて必要書類や確認事項がありますので、設立直後の場合は事前に確認することをおすすめします。

Q
トラック1台でも許可を取れますか?
A

車両の台数だけで許可の可否が決まるものではありません。
取り扱う産業廃棄物を適正に運搬できる車両や容器を確保しているかなどを確認します。

Q
東京都の会社ですが、千葉県の許可も取れますか?
A

会社所在地だけで判断するものではありません。
実際にどこで積込み・積卸しを行うのかなど、事業計画に応じて必要な許可を検討します。

Q
許可を取る前に取引先と契約できますか?
A

契約内容や事業開始時期の設計が重要です。
少なくとも、必要な許可を取得していない状態で許可が必要な収集運搬業を開始しないよう注意が必要です。

Q
新規許可はどのくらい前から準備すればよいですか?
A

講習会、必要書類、申請予約、審査期間を考える必要があります。
東京都の手引では標準処理期間が申請書受理後60日とされ、予約が1~2か月以上先になることもあるとされていますので、事業開始日から十分余裕をもって準備することをおすすめします。

Q
積替え保管も一緒に申請できますか?
A

積替え保管を予定している場合は、通常の「積替え保管を除く」申請とは手続が異なります。東京都では許可申請前に事前計画書を提出する手続が示されています。

まとめ

産業廃棄物収集運搬業の新規許可を取得するときに、
一番最初にすることは申請書を書くことではありません。

まず、「どこから、何を、どこまで運ぶのか」を整理してください。
そのうえで、次の項目を確認します。

  • 他人の産業廃棄物を業として運搬するのか
  • どこで積込みをするのか
  • どこで積卸しをするのか
  • どの産業廃棄物を取り扱うのか
  • 特別管理産業廃棄物に該当しないか
  • 積替え保管を行うのか
  • 使用する車両・容器は決まっているか
  • 講習会を受講しているか
  • 決算状況に問題はないか
  • 役員等の欠格要件に問題はないか
  • いつから事業を開始したいのか

新規許可で大切なのは、「許可を取ること」だけではありません。
「取りたい仕事を受注できる許可を取ること」です。

せっかく許可を取得しても、

  • 必要な品目が入っていなかった
  • 必要な県の許可を取っていなかった
  • 自社ヤードへ持ち帰る計画なのに、積替え保管なしの許可だった

となれば、予定していた事業をそのまま始められない可能性があります。
だからこそ、新規許可は申請書を書く前の設計が重要です。

当事務所では、産業廃棄物収集運搬業の新規許可について、

  • そもそも許可が必要なのか
  • どの自治体へ申請すればよいのか
  • どの品目を取得すればよいのか

という最初の段階から、許可申請までサポートしています。

  • 取引先から産廃許可を取ってほしいと言われた
  • 新しく収集運搬業へ参入したい
  • 自社の場合、何の許可が必要なのか分からない

そのような段階でも問題ありません。

まずは、「どこから、何を、どこまで運びたいのか」を整理するところから始めてみてください。

主な根拠・参考資料

  • 廃棄物処理法第14条(産業廃棄物収集運搬業の許可)
  • 東京都「産業廃棄物収集運搬業許可申請の手引(新規・更新申請用)」
    新規・更新許可申請の申請書類、講習会、審査期間、積替え保管を含む場合の事前計画書等について示されています。
  • 同手引「講習会」
    新規講習会修了証の有効期限、新規許可申請に使用する修了証の基準、他自治体の許可を有する場合等の取扱いが示されています。
  • 同手引「申請手数料・申請から審査、許可決定までの流れ」
    東京都における標準処理期間や申請予約について示されています。
  • 同手引「注意事項」
    申請者、役員等、一定の株主等及び政令使用人の欠格要件について示されています。

※本記事は東京都を基準とした一般的な説明です。申請先自治体や事業内容によって必要な許可・添付書類・事前手続等が異なる場合があります。実際の申請時には、申請先自治体の最新の手引・窓口で確認してください。