【2026年取扱い明確化】産廃収集運搬業は白ナンバーでできる?緑ナンバーが必要になるケースを行政書士が解説

コラム

産業廃棄物収集運搬業を始めるとき、

  • 産業廃棄物収集運搬業許可があれば、白ナンバーの車両で運べるのか
  • 他人の産業廃棄物を有償で運ぶので、緑ナンバーも必要なのではないか

「産廃収集運搬業許可と一般貨物自動車運送事業許可の両方を取得しなければならないのか」と疑問を持たれる方は少なくありません。

産業廃棄物収集運搬業許可と一般貨物自動車運送事業許可は、
目的も根拠法令も異なる制度です。

そのため、産業廃棄物収集運搬業許可を受けているという理由だけで、
貨物自動車運送事業法上の確認が不要になるわけではありません。

一方、産業廃棄物収集運搬業者が使用するすべての車両に、
緑ナンバーが必要となるわけでもありません。

国土交通省は、環境省の見解を確認したうえで、2026年3月16日付けの事務連絡「貨物自動車運送事業法における廃棄物の運送に関する取扱いについて」により、廃棄物の運送に関する取扱いを明確にしました。

判断のポイントは、
「廃棄物の収集または処分と一体的に行う運搬なのか」それとも、
「収集・処分を伴わず、廃棄物の運搬だけを行うのか」という点です。

この記事では、2026年3月に明確化された取扱いをもとに、
産業廃棄物収集運搬業者が白ナンバーで運べる場合と、
貨物自動車運送事業法上の許可等が必要になる場合を解説します。

産業廃棄物収集運搬業許可と運送業許可の違い

産業廃棄物収集運搬業許可と一般貨物自動車運送事業許可は、
異なる法律に基づく許可です。

産業廃棄物収集運搬業許可

産業廃棄物収集運搬業許可は、廃棄物処理法に基づく許可です。

他人から委託を受けて産業廃棄物の収集または運搬を業として行う場合は、
原則として産業廃棄物収集運搬業許可を受けなければなりません。

積替え保管を行わずに運搬する場合は、原則として、
産業廃棄物の積込み場所と荷卸し場所を管轄する都道府県等の許可が必要です。

例えば、
東京都内で産業廃棄物を積み込み、
千葉県内の処分施設で荷卸しする場合は、
原則として東京都と千葉県の許可を検討します。

許可を受ける際には、

  • 取り扱う産業廃棄物の種類
  • 使用する車両や運搬容器
  • 積替え保管の有無
  • 申請者の経理的基礎
  • 講習会の修了
  • 欠格要件への非該当

などが確認されます。

一般貨物自動車運送事業許可

一般貨物自動車運送事業許可は、貨物自動車運送事業法に基づく許可です。

他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業を行う場合は、原則として貨物自動車運送事業法上の許可等を確認する必要があります。

一般貨物自動車運送事業に使用する車両には、
一般的に緑色のナンバープレートが付けられます。

一般貨物自動車運送事業許可では、

  • 営業所
  • 車庫
  • 車両
  • 休憩・睡眠施設
  • 資金
  • 運行管理体制
  • 整備管理体制
  • 運転者

など、産業廃棄物収集運搬業許可とは異なる要件を確認することになります。

産業廃棄物収集運搬業許可が
「産業廃棄物を適正に収集・運搬するための許可」であるのに対し、

一般貨物自動車運送事業許可は
「他人の貨物を有償で運送する事業を行うための許可」です。

産業廃棄物も自動車によって運ばれるため、
事業形態によっては両方の制度を確認する必要があります。

そこで問題となるのが、「産業廃棄物収集運搬業者が廃棄物を運ぶ場合、一般貨物自動車運送事業の許可等も必要になるのか」という点です。

2026年3月に廃棄物運搬の取扱いが明確化されました

国土交通省は、2026年3月16日付けで「貨物自動車運送事業法における廃棄物の運送に関する取扱いについて」という事務連絡を発出しました。

これは、2026年4月1日から違法な白トラ事業者に運送を委託した荷主等への規制が始まることを踏まえ、廃棄物の運送に関する従来の取扱いを明確にしたものです。

事務連絡では、貨物自動車運送事業法上の基本的な考え方として、

  • 他人の需要に応じ
  • 有償で
  • 自動車を使用して
  • 貨物を運送する事業

を行う場合には、
貨物自動車運送事業法上の許可等が必要になると説明されています。

一方、他人の需要に応じて運送する場合でも、
その運送が自己の生業と密接不可分であり、
本来の業務に付帯するものとして行われる場合は、
貨物自動車運送事業に該当せず、同法上の許可等を要しないとされています。

廃棄物の運送については、環境省から、

  • 廃棄物処理の主たる業務は、廃棄物の収集および処分業務である
  • 廃棄物の運搬は、収集・処分業務を完遂するために付帯する業務である

との見解が示されました。

これを踏まえ、国土交通省は
廃棄物の運送について、次のように整理しています。

収集または処分と一体的に行われる運搬
廃棄物処理業務に付帯する運送として、
貨物自動車運送事業法上の許可等は不要。

収集・処分を伴わない廃棄物の運搬のみ
貨物自動車運送事業法上の許可等が必要。

したがって、
「産業廃棄物収集運搬業許可を持っているか」だけで判断するのではなく、
どのような契約に基づき、実際にどの業務まで行っているのか
を確認することが重要です。

収集・処分と一体的に運搬する場合

国土交通省の事務連絡では、
廃棄物処理業者が、市町村や排出事業者との包括的な委託等の契約に基づき、

  • 廃棄物の運搬
  • その他の廃棄物処理である収集または処分

を一体的に実施する場合について説明しています。

この場合、契約に基づく業務の一環として行われる運搬は、
自己の生業である廃棄物処理業務と密接不可分であり、
その業務に付帯して行われるものとして、
貨物自動車運送事業法上の許可等を要しないとされています。

そのため、産業廃棄物処理業者が排出事業者との契約に基づき、
廃棄物の収集と運搬を一体的に行っている場合は、

白ナンバーの収集運搬車両を使用しているという理由だけで、
直ちに白トラ行為になるわけではありません。

例えば、

  • 排出事業者の事業場で、産業廃棄物を収集し、処分施設まで運搬する
  • 建設現場で発生した産業廃棄物を収集し、委託契約に定められた処分施設まで運搬する
  • 処分業者が、排出事業者との包括的な契約に基づき、廃棄物の運搬と処分を一体的に行う

といった場合が考えられます。

ただし、
「緑ナンバーが不要」=「産業廃棄物収集運搬業許可も不要」ではありません。

貨物自動車運送事業法上の許可等が不要となる場合でも、
他人から委託を受けて産業廃棄物を収集・運搬するためには、
原則として廃棄物処理法に基づく産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。

さらに、

  • 必要な都道府県等の許可を受けているか
  • 運搬する産業廃棄物が許可品目に含まれているか
  • 許可を受けた事業者が実際に収集運搬しているか
  • 委託契約書を適切に締結しているか
  • 産業廃棄物管理票を適切に運用しているか
  • 運搬車両の表示や必要な書面の備付けを行っているか

なども別途確認する必要があります。

「白ナンバーで運べる」ということと、
「廃棄物処理法上の規制を受けない」ということは全く別の話です。

廃棄物の運搬だけを行う場合

一方、国土交通省の事務連絡では、

収集または処分を伴わず、
廃棄物の運搬だけを行う場合には、
貨物自動車運送事業法上の許可等が必要になる

とされています。

例えば、次のような事業形態は注意が必要です。

  • 他の産業廃棄物処理業者から、車両による運搬だけを依頼される
  • 排出事業者から処分施設までの運送部分だけを請け負う
  • 廃棄物の積込みや処分には関与せず、車両と運転手だけを提供する
  • 他の収集運搬業者が収集した廃棄物を、別の場所まで運ぶ
  • 廃棄物処理業務を行わず、運送業務だけを継続して受託する

このような場合は、
産業廃棄物収集運搬業許可だけでなく、
使用する車両や事業形態に応じて、
貨物自動車運送事業法上の許可等を確認する必要があります。

普通トラックなどを使用して、
他人の需要に応じて有償で廃棄物の運搬だけを行う場合は、
一般貨物自動車運送事業許可が必要になる可能性があります。

軽自動車を使用する場合は、
貨物軽自動車運送事業の届出について確認する必要があります。

また、自社で車両を使用せず、
排出事業者から廃棄物の運送を引き受け、
実際の運送を別の運送事業者へ委託するような事業形態では、
貨物利用運送事業への該当性についても確認が必要となる場合があります。

ただし、ここでも注意が必要です。

貨物自動車運送事業法上の許可等があれば、
自由に産業廃棄物を運べるという意味ではありません。

産業廃棄物の処理委託については、廃棄物処理法上、委託先、再委託、委託契約、マニフェストなどに関する規制があります。

一般貨物自動車運送事業許可を受けた事業者であっても、
それだけで他人の産業廃棄物を収集・運搬できるわけではありません。

したがって、廃棄物の運搬だけを請け負う事業を検討している場合は、
産業廃棄物収集運搬業許可」と「貨物自動車運送事業法上の許可・届出」の
両面から確認することが重要です。

契約書の名称だけでは判断できません

ご相談では、「産業廃棄物収集運搬委託契約書を締結しているので、
緑ナンバーは必要ないと思っていました」というお話を伺うことがあります。

しかし、契約書の名称だけで
貨物自動車運送事業法上の許可が不要になるわけではありません。

国土交通省の事務連絡では、廃棄物の処理を行う事業者が、
排出事業者等との包括的な委託等の契約に基づき、
運搬と収集または処分を一体的に実施することが前提とされています。

そのため、

  • 契約書にどの業務が記載されているか
  • 実際にどの事業者が収集しているか
  • 誰が車両を運転しているか
  • 廃棄物の運搬だけを別の事業者へ依頼していないか
  • 運搬料金がどのように定められているか
  • 契約内容と実際の業務が一致しているか

などを確認する必要があります。

例えば、契約書の名称が「産業廃棄物収集運搬委託契約書」であっても、
実際には車両と運転手を提供して廃棄物を移動させるだけで、
収集または処分を伴っていない場合は、
貨物自動車運送事業法上の許可等が必要になる可能性があります。

反対に、運搬料金が契約書に記載されているという理由だけで、
直ちに独立した貨物運送と判断されるわけでもありません。

廃棄物処理法では、産業廃棄物処理委託契約書に収集運搬業者や
処分業者へ支払う料金などの法定事項を記載する必要があります。

重要なのは、費用項目や契約書の名称だけではなく、
廃棄物の運搬が、収集または処分と一体的な廃棄物処理業務として行われているか
という点です。

契約書の形式だけで判断せず、
実際の事業スキームまで確認することが大切です。

事業を始めてからではなく、契約前に確認したいこと

「どの段階で相談すればよいですか」
このご質問も、産業廃棄物収集運搬業許可のご相談で多くいただきます。

おすすめしているのは、
排出事業者や廃棄物処理業者との契約を締結する前です。

契約前であれば、

  • 廃棄物の収集・運搬を一体的に行う事業なのか
  • 廃棄物の運搬だけを行うことになるのか
  • 産業廃棄物収集運搬業許可は、どの自治体・品目で必要なのか
  • 貨物自動車運送事業法上の許可等も必要になるのか

といった点を、実際の事業計画に沿って整理できます。

また、一般貨物自動車運送事業許可が必要となる場合には、

  • 営業所
  • 車庫
  • 車両
  • 休憩・睡眠施設
  • 資金
  • 運行管理体制
  • 整備管理体制
  • 運転者

などについても確認する必要があります。

営業所や車庫の物件を契約した後、
あるいは車両を購入した後になって許可要件を満たさないことが分かると、
事業計画そのものを見直さなければならない可能性があります。

すでに廃棄物の運搬を行っている場合も、

  • 誰から委託を受けているか
  • どのような契約を締結しているか
  • 収集・運搬・処分のうち、どの業務を行っているか
  • 実際に廃棄物を積み込むのは誰か
  • 実際に車両を運転するのは誰か
  • 運搬先はどこか
  • 料金をどのように受け取っているか

を整理することで、現在の事業に必要な許可等を確認しやすくなります。

産業廃棄物収集運搬業許可を新規取得する場合も、
「とりあえず産廃許可を取る」のではなく、
車両・契約・業務範囲まで含めた事業スキームを確認してから、
必要な許可を設計することが重要
です。

よくある質問

Q
産業廃棄物収集運搬業者は白ナンバーで運べますか?
A

廃棄物処理業者が排出事業者等との包括的な委託等の契約に基づき、
廃棄物の運搬と収集または処分を一体的に行う場合は、
その運搬について、貨物自動車運送事業法上の許可等を要しない
とされています。

したがって、白ナンバーであるという理由だけで直ちに白トラ行為になるわけではありません。

ただし、
必要な産業廃棄物収集運搬業許可等については別途確認が必要です。

Q
産業廃棄物の運搬だけを請け負う場合はどうなりますか?
A

収集または処分を伴わず、廃棄物の運搬だけを行う場合は、
貨物自動車運送事業法上の許可等が必要とされています。

他人の産業廃棄物を収集・運搬する場合には、
廃棄物処理法上必要となる許可についても確認する必要があります。

Q
「収集運搬」と「運搬だけ」は何が違うのですか?
A

判断のポイントは、名称ではなく実際の業務内容です。

廃棄物処理業者が収集または処分と運搬を一体的に行っているのか、
それとも車両による廃棄物の移動だけを請け負っているのかを、
契約内容と実態の両方から確認します。

Q
処分業者が排出事業者まで引き取りに行く場合はどうなりますか?
A

排出事業者等との包括的な委託等の契約に基づき、
廃棄物の運搬と処分を一体的に行う場合は、その運搬について
貨物自動車運送事業法上の許可等を要しないとされています。

ただし、処分業許可だけで収集運搬まで行えるわけではありません。
必要な地域の産業廃棄物収集運搬業許可についても確認が必要です。

Q
運送会社が産業廃棄物を運ぶ場合、運送業許可だけで足りますか?
A

一般貨物自動車運送事業許可を受けているだけで、
他人の産業廃棄物を自由に収集・運搬できるわけではありません。

廃棄物処理法上必要となる産業廃棄物収集運搬業許可についても確認する必要があります。

Q
特殊車両通行許可があれば産業廃棄物も運べますか?
A

特殊車両通行許可は、車両の寸法や重量が道路法上の一般的制限値を超える場合に、一定の条件で道路を通行するための制度です。

産業廃棄物収集運搬業許可や一般貨物自動車運送事業許可とは目的が異なります。

特殊車両通行許可を取得していても、産業廃棄物の収集・運搬に必要な許可が不要になるわけではありません。

特車許可と産業廃棄物収集運搬業許可の違いについては、次の記事で詳しく解説しています。

まとめ

産業廃棄物収集運搬業許可を受けているからといって、
すべての廃棄物運搬を白ナンバーで行えるわけではありません。

一方、他人の産業廃棄物を収集・運搬しているからといって、
すべての場合に緑ナンバーが必要になるわけでもありません。

2026年3月16日付けの国土交通省事務連絡では、
廃棄物処理業者が、排出事業者等との包括的な委託等の契約に基づき、
廃棄物の収集または処分と運搬を一体的に実施する場合と、
収集または処分を伴わず、廃棄物の運搬だけを行う場合を区別して
考えることが示されています。

判断するときは、

  • どのような契約を締結しているか
  • 収集・運搬・処分のうち、どの業務を行っているか
  • 実際にどの事業者が廃棄物を取り扱っているか
  • 運搬だけを別の事業者へ委託していないか
  • 契約内容と実際の業務が一致しているか

という点を確認する必要があります。

つまり、「白ナンバーか、緑ナンバーか」だけを見るのではなく、
その車両で「誰が、誰から、どの業務を受託しているのか」まで
確認することが重要です。

また、貨物自動車運送事業法上の許可等が不要となる場合でも、
廃棄物処理法上必要となる産業廃棄物収集運搬業許可が
不要になるわけではありません。

弊所では、予定している事業内容や契約関係を確認したうえで、

  • 産業廃棄物収集運搬業許可
  • 一般貨物自動車運送事業許可等
  • 特殊車両通行許可

など、事業に関係する行政手続を整理しています。

  • 産廃収集運搬業許可だけで白ナンバーを使用できるのか確認したい
  • 廃棄物の運搬だけを新たに受託したい
  • 産廃収集運搬業許可と一般貨物自動車運送事業許可の両方必要なのか分からない

という場合は、
契約を締結したり、車両を購入したりする前に確認することをおすすめします。

契約内容と実際の事業スキームを確認することで、必要となる許可・届出を整理し、適法な事業開始を見据えた準備を進めることができます。

主な根拠資料

  • 国土交通省 2026年3月16日付け事務連絡
    「貨物自動車運送事業法における廃棄物の運送に関する取扱いについて」
  • 貨物自動車運送事業法
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律

※実際の許可・届出の要否は、使用する車両、契約内容、料金体系、収集・処分への関与、実際の業務形態等によって判断が必要です。個別案件については、関係行政機関の最新の取扱いを確認してください。