産業廃棄物収集運搬業の新規許可は何か月かかる?東京都の審査期間と準備スケジュールを行政書士が解説

コラム
  • 新しい取引先から、産廃の許可を取ってほしいと言われました。
  • 来月から収集運搬を始めたいのですが、今から申請すれば間に合いますか?

産業廃棄物収集運搬業の新規許可について、このようなご相談があります。

新規許可を初めて取得する方は、「申請書を出せば、1か月くらいで許可が出るのでは?」と思われることもあります。

しかし、実際には、

  1. 講習会
  2. 事業計画の整理
  3. 必要書類の準備
  4. 申請予約
  5. 申請
  6. 審査
  7. 許可証交付

という流れがあります。

東京都の手引では、許可証交付までの標準処理期間は、申請書受理後60日とされています。

さらに、申請予約についても、予約できる日時が1~2か月以上先になることがあると案内されています。

つまり、

「申請してから60日」だけを見て事業開始日を決めるのは危険です。

実際には、申請前の準備期間まで含めてスケジュールを考える必要があります。

この記事では、産業廃棄物収集運搬業の新規許可を検討している方へ、東京都を例に、許可取得までにどのくらい時間がかかるのか、いつから準備を始めるべきかを行政書士の視点から解説します。

※本記事は東京都の手引を基準にしています。申請方法、受付状況、標準処理期間などは自治体によって異なる場合がありますので、実際の申請では申請先自治体の最新情報をご確認ください。

新規許可は「申請から60日」で取れるわけではない

東京都の手引では、産業廃棄物収集運搬業の審査について、標準処理期間は申請書受理後60日とされています。

ここだけを見ると、「2か月前に申請すれば大丈夫」と思うかもしれません。

しかし、注意が必要です。許可を取りたいと思った日から60日ではありません。

この「60日」は、申請書が正式に受理された後からの標準処理期間です。

その前に、

  • 講習会
  • 事業計画
  • 車両や容器の確認
  • 必要書類の収集
  • 申請書作成
  • 申請日時の予約

といった準備があります。

そのため、「4月から新規事業を始めたいので、2月に申請すればよい」と単純に逆算することはおすすめできません。

まず、申請できる状態になるまでにどの程度時間が必要なのかを確認する必要があります。

許可取得までの一般的な流れ

東京都で「積替え保管を除く」産業廃棄物収集運搬業の新規許可を申請する場合、一般的には次のような流れで進めます。

  1. 講習会の受講
  2. 事業内容の整理
  3. 車両・運搬容器等の確認
  4. 必要書類の収集
  5. 申請書の作成
  6. 申請日時の予約
  7. 申請
  8. 審査
  9. 許可証の交付

新規取得でよくある誤解は、「申請書を作ればすぐ申請できる」というものです。

実際には、申請書を作る前に、

  • どこで積むのか
  • 何を運ぶのか
  • どこで降ろすのか
  • どの車両・容器を使うのか

を決めなければなりません。

新規許可は、書類作成よりも前の事業設計が重要です。

最初に確認するのは事業開始日ではなく事業内容

「いつ許可が取れますか?」という質問を受けたとき、最初に確認したいのは希望日だけではありません。

まず、

  1. どこから
  2. 何を
  3. どこまで

運ぶのかを確認します。

例えば、

「東京都内の建設現場から出た廃プラスチック類、金属くず、がれき類を、千葉県内の処分施設まで運びたい」

ここまで分かれば、

  • どの自治体の許可を検討するか
  • どの品目を申請するか
  • 車両や容器は適切か

といった確認に進めます。

一方、「産廃の仕事を始めたいので、とにかく早く許可を取ってほしい」だけでは、必要な許可自体が決まりません。

新規許可では、「いつまでに許可を取りたいか」より先に、「どのような事業を始めるのか」を固めることが重要です。

講習会を受講していないと申請準備が進まない

新規許可では、講習会修了証の確認も重要です。

東京都の手引では、新規許可申請について、原則として新規講習会の修了証が必要とされ、新規許可申請では申請日に有効な修了証が必要とされています。

法人の場合は、代表者、一定の役員または政令使用人の中から講習会修了者を確保する必要があります。

そのため、「申請書類は行政書士に頼めばすぐ出せる」と思っていても、講習会が未受講であれば予定どおり進められないことがあります。

新規許可を検討し始めた段階で、誰が講習会を受講するのかを決めることをおすすめします。

なお、すでに他自治体で一定の産業廃棄物収集運搬業許可等を有している場合などには、更新講習会修了証で新規申請できるケースもあります。

既存許可がある場合は、最初から「新規講習会が必要」と決めつけず、現在保有している許可や修了証を確認します。

申請予約が1~2か月以上先になることもある

新規許可のスケジュールで見落としやすいのが、申請予約です。

ここは非常に重要です

東京都の手引では、予約できる日時が1~2か月以上先になることもあると明記されています。

例えば、1月にすべての申請書類が完成したとしても、

  1. 申請予約が3月
  2. 3月に申請書受理
  3. そこから審査

という流れになる可能性があります。

つまり、書類が完成した日=申請日ではありません。

特に新規事業の開始日や取引開始日が決まっている場合は、
申請予約の混雑状況まで考慮してスケジュールを組む必要があります。

標準処理期間60日に含まれない期間がある

東京都の標準処理期間は、申請書受理後60日とされています。
ただし、この60日には含まれない期間があります。

東京都の手引では、

  • 予約日から申請書を受理するまでの日数
  • 申請書受理後、書類の修正や追加に要した日数
  • 土日祝日、年末年始その他の閉庁日

は標準処理期間に含まれないとされています。

したがって、「3月1日に申請したから、必ず4月30日までに許可が出る」という意味ではありません。

標準処理期間は、許可証交付までの目安ではありますが、事業開始日を確約する期間ではないという点に注意が必要です。

新しい取引先との契約書や営業計画を作る際にも、許可日を断定して約束しない方が安全です。

補正があると許可までさらに時間がかかる

新規申請では、申請後に追加確認や補正が必要になることがあります。

例えば、

  • 事業計画の記載内容
  • 車両写真
  • 運搬容器写真
  • 財務関係書類
  • 役員等の情報

などです。

東京都の申請書類には、事業計画の概要、運搬車両の写真、運搬容器等の写真、資金調達関係資料などが含まれています。

写真についても、東京都の手引では、撮影方法によっては再提出となる場合があることが示されています。

書類の修正や追加に要する期間は、標準処理期間に含まれません。

したがって、申請日を早くすることだけでなく、補正をできるだけ減らすことも、早い許可取得につながります。

複数の都道府県で許可が必要な場合

産業廃棄物収集運搬業では、一つの都道府県だけで仕事が完結しないケースも多くあります。

例えば、

  1. 東京都内で積込み
  2. 千葉県内で荷卸し

という事業を予定している場合です。

この場合、必要な許可を複数自治体で検討することになります。

そこで注意したいのが、各自治体で申請予約や審査の進み方が異なるという点です。

東京都の許可が先に出ても、もう一方の許可が出ていなければ、予定していた事業を開始できない可能性があります。

複数自治体の新規許可を取得するときは、一件ずつ順番に考えるより、

すべての必要許可を洗い出して、最も遅くなる可能性のある自治体を含めて事業開始日を設計する

方が実務的です。

積替え保管を行う場合は通常の新規申請と別に考える

「収集した廃棄物を、一度自社のヤードへ持ち帰りたい。」という場合は注意が必要です。

排出場所から処分施設までそのまま運搬する場合と、一度自社の施設へ搬入して保管・積替えする場合では、手続が異なります。

東京都では、積替え保管を含む許可を申請する場合、通常の許可申請の前に事前計画書を提出し、都による現地審査を受ける必要があります。

そのため、「積替え保管なしの申請と同じスケジュールで取れる」とは考えない方がよいでしょう。

積替え保管を予定している場合は、

  • 施設の場所
  • 保管方法
  • 取扱品目
  • 施設基準
  • 周辺環境

なども含めて計画する必要があります。

事業開始までの期間も、通常の「積替え保管を除く」新規申請より余裕を持って考えることをおすすめします。

いつから準備を始めるべき?

では、新規許可はいつから準備すればよいのでしょうか。

結論としては、事業開始予定日の少なくとも数か月前から動くことをおすすめします。

ただし、「3か月前なら必ず間に合う」といった意味ではありません。

例えば、

  • 講習会未受講
  • 複数自治体へ申請
  • 財務資料の確認が必要
  • 取扱品目が未確定
  • 車両や容器が未準備
  • 積替え保管あり

というケースでは、さらに早い準備が必要です。

特に東京都では、申請予約が1~2か月以上先になることがあり、申請受理後の標準処理期間も60日です。

そのため、「許可を取りたいと思ったら、まず相談する」くらいのタイミングがちょうどよい場合もあります。

「来月から仕事を始めたい」と言われたら?

新規相談で実務上困るのが、「取引先から来月から仕事を始めてほしいと言われています」というケースです。

まだ必要な許可を取得していない場合、取引先の希望日だけを基準に事業を開始することはできません。

新規許可は、申請しただけでは営業を開始できません。

必要な許可が交付されてから、その許可の範囲内で業務を開始します。

そのため、取引先から相談を受けた段階で、「来月からできます」と即答するのではなく、

まず、

  • 必要な自治体
  • 必要品目
  • 講習会
  • 申請予約
  • 審査期間

を確認することが重要です。

場合によっては、「許可取得後から業務開始」という前提で契約や開始時期を調整する必要があります。

行政書士へ相談するメリット

新規許可で行政書士へ相談するメリットは、申請書を早く作ることだけではありません。

むしろ重要なのは、「いつまでに、何を終わらせれば、事業開始に間に合うのか」を整理できることです。

例えば、

  1. 必要な許可を特定する
  2. 講習会の状況を確認する
  3. 取扱品目を決める
  4. 車両・容器を確認する
  5. 財務状況を確認する
  6. 必要書類を集める
  7. 申請予約をする
  8. 複数自治体の進行を管理する

という形で、許可取得までを逆算します。

「とりあえず書類を集める」のではなく、事業開始日から逆算して申請全体を設計することが、新規許可では重要です。

よくある質問

Q
東京都では申請してから何日で許可が出ますか?
A

東京都の手引では、申請書受理後の標準処理期間は60日とされています。ただし、書類の修正・追加に要する期間や閉庁日などは含まれません。

Q
書類が完成したらすぐ申請できますか?
A

必ずしもそうではありません。東京都では申請予約が必要で、予約できる日時が1~2か月以上先になることもあるとされています。

Q
講習会をまだ受けていません。申請できますか?
A

新規許可申請では、原則として申請日に有効な所定の講習会修了証が必要です。まず講習会の受講状況を確認してください。

Q
申請中なら産廃を運んでもよいですか?
A

新規許可は、申請しただけでは事業を開始できません。必要な許可を取得してから業務を開始する必要があります。

Q
東京都と千葉県の両方が必要な場合、同時に申請できますか?
A

各自治体の申請要件や受付方法を確認したうえで、並行して準備することは可能です。ただし、事業開始には必要な許可が揃っているか確認する必要があります。

Q
積替え保管ありでも同じくらいの期間ですか?
A

東京都では積替え保管を含む許可の場合、許可申請前に事前計画書の提出や現地審査が必要です。通常の「積替え保管を除く」申請とは別のスケジュールで考える必要があります。

まとめ

産業廃棄物収集運搬業の新規許可は、「申請してから60日待てば取れる」という単純な手続ではありません。

東京都では、

  • 講習会
  • 事業計画の整理
  • 車両・容器の確認
  • 必要書類の収集
  • 申請書作成
  • 申請予約
  • 申請
  • 審査
  • 許可証交付

という流れがあります。

さらに、東京都の手引では、申請予約が1~2か月以上先になることもあり、申請書受理後の標準処理期間は60日とされています。

そのため、新規許可を考えるときに大切なのは、「申請日はいつか」ではありません。「いつから仕事を始めたいのか。そのために、いつ何を始めなければならないのか」という逆算です。

特に、

  • 取引先から許可取得を求められた
  • 数か月後に新規事業を始めたい
  • 複数の都道府県で仕事をしたい
  • 講習会をまだ受けていない
  • 積替え保管を検討している

という場合は、早めに全体のスケジュールを確認することをおすすめします。

当事務所では、産業廃棄物収集運搬業の新規許可について、

  • どの許可が必要なのか
  • いつから準備すれば間に合うのか
  • 事業開始予定日から逆算すると、何を優先すべきか

という段階から、申請手続までサポートしています。

  • 取引先から産廃許可を取るように言われた
  • いつまでに許可が取れるか知りたい

という段階でも、まず事業内容と希望する開始時期を整理するところから始めてください。

主な根拠資料

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条
  • 東京都「産業廃棄物収集運搬業許可申請の手引(新規・更新申請用)」
    • 申請から審査・許可決定までの流れ、標準処理期間、講習会、申請書類、積替え保管を含む場合の事前手続等

※本記事は東京都を基準とした一般的な説明です。申請予約、審査期間、必要書類、積替え保管の手続等は自治体や申請内容によって異なる場合があります。実際の申請時には、申請先自治体の最新の手引・窓口で確認してください。