産業廃棄物収集運搬業許可の罰則について不許可・マニフェスト違反・不法投棄も解説

コラム

産業廃棄物の取り扱いは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」という法律に規定されています。

違反した場合は、高額な罰金だけでなく、懲役刑や「許可の取り消し」といった事業存続に関わる罰則が科されることがあります。

たとえば、産廃許可を取得せずに業務を行った場合や、許可はあるものの法令違反があった場合には、重い刑事罰や行政処分もあります。

関係法令に基づいて、産廃許可に関する代表的な違反と罰則について解説します。

産業廃棄物収集運搬業許可とは

産業廃棄物収集運搬業許可とは、事業活動で生じた産業廃棄物を、排出事業者から中間処理施設や最終処分場まで運搬する業務を行うために必要な許可です。

根拠法令は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃掃法)第14条第1項で、次のように定められています。

第三節 産業廃棄物処理業
(産業廃棄物処理業)
第十四条 産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

排出業者と運搬業者

排出業者の責任

廃掃法では、排出事業者責任が明確に規定されています。排出業者は、産業廃棄物を最後まで適正に処理する責任を負います(廃掃法第3条)。

(事業者の責務)
第三条 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。

  • 排出事業者は次のような違反があると排出業者も処罰対象になります。
    • 無許可業者への委託
    • 委託基準に違反した契約
    • マニフェストの不備

運搬業者の責任

依頼されたから運んだだけという言い訳は法的には通用しません。

  • 産廃許可を持つ運搬業者は次の内容が問われることになります。
    • 産廃許可の範囲内で業務を行っているのか?
    • 産廃を適正な運搬や保管をしているのか?
    • マニフェストを適切に取り扱っているのか?

産業廃棄物マニフェストとは、排出事業者が産業廃棄物の処理を業者に委託する際、廃棄物の流れと処理状況を把握・管理し、最終処分まで適正に行われたかを確認するための管理票(伝票)です。

無許可の罰則

無許可営業の罰則

産業廃棄物収集運搬業の無許可営業は、廃掃法において重大な違反です。

  • 廃掃法第25条第1項によって次の罰則が科されます。
    • 5年以下の懲役
    • 1,000万円以下の罰金
    • またはその併科

第五章 罰則
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

さらに、法人が違反した場合には、両罰規定によって、法人に対しても3億円以下の罰金が科される可能性があります(廃掃法第32条)。

第五章 罰則
第三十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 三億円以下の罰金刑

マニフェスト違反

産業廃棄物の処理には、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の適正な運用が義務付けられています(廃掃法第12条の3)。

(産業廃棄物管理票)
第十二条の三 その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(中間処理業者を含む)は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者(当該委託が産業廃棄物の処分のみに係るものである場合にあつては、その処分を受託した者)に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票を交付しなければならない。

主な違反例

  • 産廃許可のマニフェスト違反の主な違反例は次のとおりです。
    • マニフェストを交付していない
    • 記載事項の不備・虚偽記載
    • 保存期間(5年間)を守っていない
    • 電子マニフェストの登録漏れ

罰則

  • 産廃許可のマニフェスト義務違反は次の罰則が科される可能性があります。
    • 1年以下の懲役
    • 100万円以下の罰金

不法投棄

不法投棄とは

産業廃棄物を、許可のない場所に捨てたり、野外や空き地に放置する行為は、不法投棄に該当します(廃掃法第16条)。

罰則

  • 不法投棄は、廃掃法上で重い違反の一つで次の罰則が科される可能性があります。
    • 5年以下の懲役
    • 1,000万円以下の罰金
    • 法人の場合は3億円以下の罰金

実際の裁判例でも、実刑判決や高額罰金が科されるケースが少なくありません。

その他の違反事例

  • 廃掃法では次のような行為も処罰や行政処分の対象になります。
    • 許可条件違反(車両表示義務違反など)
    • 帳簿未整備・虚偽記載
    • 名義貸し・許可証の貸与
    • 無許可業者への再委託

名義貸しは、悪質と判断されやすく、許可取消につながる可能性が高い違反です。

その他の罰則

行政処分

  • 刑事罰とは別に、次のような行政処分が行われることがあります。
    • 事業停止命令
    • 改善命令
    • 許可取消し

許可取消しを受けると、一定期間は再取得ができません。