近年、再生可能エネルギーの普及に伴い、多くの太陽光発電設備が設置されてきました。
一方で、
「FIT制度による売電が終わったら設備はどうすればよいのか?」
「太陽光パネルを撤去するには、どのような手続が必要なのか?」
「積み立てた撤去費用はどのように使うのか?」
といったご相談も増えています。
太陽光発電設備は、設置するときだけでなく、将来的な撤去や廃棄まで見据えて管理することが重要です。
特にFIT制度・FIP制度の対象となる事業用太陽光発電設備では、撤去費用積立制度が導入されており、発電事業者には設備の適切な撤去や廃棄が求められています。
この記事では、東京都で太陽光発電設備の撤去や廃棄を検討している事業者向けに、FIT・FIP制度、撤去費用積立制度、実際の手続の流れについて解説します。
FIT制度・FIP制度とは
FIT制度とは
FIT(Feed in Tariff:固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーで発電した電気を、一定期間、国が定めた固定価格で電力会社が買い取る制度です。
再生可能エネルギーの普及を目的として導入され、多くの事業用太陽光発電設備が設置されました。
安定した売電収入が期待できる一方、設備の寿命や将来的な撤去についても考えておく必要があります。
FIP制度とは
FIP(Feed in Premium:市場連動型プレミアム制度)は、市場価格で売電した電力に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せする制度です。
FIT制度とは異なり、市場価格に応じて売電収入が変動する仕組みとなっており、再生可能エネルギー事業者の市場参加を促すことを目的としています。
FIT制度・FIP制度のいずれにおいても、設備の維持管理だけでなく、将来的な撤去や廃棄まで適切に対応することが求められています。
なぜ太陽光パネルの廃棄が問題になるのか
太陽光発電設備は一般的に20年から30年程度使用されるといわれています。
しかし、
- 設備の老朽化
- 自然災害による破損
- 発電事業の終了
- 土地利用計画の変更
などにより、撤去が必要になることがあります。
また、FIT制度によって設置された多くの設備が今後更新時期を迎えることから、使用済み太陽光パネルの適正処理が社会的課題となっています。
撤去費用積立制度とは
太陽光発電設備の廃棄費用が確保されないまま設備が放置されることを防ぐため、一定の設備については撤去費用積立制度が設けられています。
この制度は、将来必要となる撤去や処分費用をあらかじめ積み立てることで、設備の適正な廃棄を促進することを目的としています。
発電事業者にとっては、
「売電するまで」ではなく、
「設備を適正に撤去し、処理を完了するまで」を見据えて事業を管理することが重要になります。
太陽光パネルは産業廃棄物になる?
事業活動に伴って排出される使用済み太陽光パネルは、産業廃棄物として取り扱われる場合があります。
そのため、
- 収集運搬
- 中間処理
- 最終処分
について、廃棄物処理法に基づく適正な処理が必要になります。
また、発電事業者は排出事業者として適正処理責任を負うため、撤去工事だけでなく、その後の処理まで確認しておくことが重要です。
太陽光パネル廃棄手続の流れ
FIT制度・FIP制度の対象設備を廃止する場合、一般的には次のような流れで手続を進めることになります。
① 解体業者・撤去工事業者を選定し契約する
まずは、太陽光発電設備の撤去工事や廃棄物処理を依頼する事業者を決めます。
工事内容によっては、
- 建設業許可
- 解体工事業登録
- 産業廃棄物収集運搬業許可
など、必要な許認可を有しているか確認することが重要です。
② 撤去費用積立金の取戻し申請を行う
工事契約に基づき、太陽光パネルや架台などの設備を撤去します。
撤去した設備については、産業廃棄物として適正に収集運搬・処理が行われるか確認することが重要です。
発電事業者には排出事業者責任があるため、
「工事を依頼した」だけではなく、
「適正に処理された」ことまで確認しておく必要があります。
④ 経済産業省への事業廃止届等の手続を行う
発電事業を終了する場合には、関係法令に基づき必要な届出等を行います。
設備を撤去した後も、制度上必要となる手続を漏れなく行うことが重要です。
FIT制度・FIP制度の対象設備については、認定状況や設備内容によって必要となる手続が異なる場合がありますので、事前に確認しておくことをおすすめします。
東京都で注意したいポイント
東京都で太陽光発電設備を撤去する場合、
- 撤去工事
- 産業廃棄物の収集運搬
- 中間処理・最終処分
など、複数の法令が関係することがあります。
また、発電事業者には排出事業者責任があるため、
といった点を事前に確認しておくことが重要です。
建設業者・解体業者が知っておきたいこと
近年では、建物解体工事や設備更新工事に伴い、太陽光パネルの撤去が必要になるケースも増えています。
工事を受注する場合には、
- 建設業許可
- 解体工事業登録
- 産業廃棄物収集運搬業許可
など、関係する許認可を確認しておくことが大切です。
また、排出事業者との契約内容や廃棄物処理の流れについても整理しておく必要があります。
よくある質問
- QFIT期間が終了したら必ず撤去しなければなりませんか?
- A
設備の状況や事業計画によって異なります。
継続利用する場合でも、将来的な撤去や廃棄については検討しておくことが重要です。
- Q太陽光パネルは一般ごみとして処分できますか?
- A
事業活動に伴って排出されるものは、産業廃棄物として取り扱われる場合があります。
適正な処理方法を確認する必要があります。
- Q撤去費用積立制度の対象かどうか分かりません
- A
FIT制度や設備の内容によって異なります。
契約内容や制度の適用状況を確認しておくことをおすすめします。
- Q撤去工事だけ依頼すれば大丈夫ですか?
- A
撤去工事だけでなく、収集運搬から処分まで適正に行われるかを確認することが重要です。
まとめ
太陽光発電設備は、設置するときだけでなく、将来の撤去や廃棄まで考えて管理することが求められています。
特に、
- FIT(Feed in Tariff:固定価格買取制度)
- FIP(Feed in Premium:市場連動型プレミアム制度)
- 撤去費用積立制度
- 産業廃棄物としての適正処理
は、発電事業者にとって重要なポイントです。
また、実際の手続では、
「解体業者との契約 → 積立金の取戻し申請 → 実際の撤去 → 経済産業省への事業廃止届等の手続」
という流れを意識して準備を進めることで、手続をスムーズに進めやすくなります。
この記事で解説した内容
太陽光発電設備の撤去では、工事契約だけでなく、廃棄物処理や行政手続が関係することがあります。
特に事業用設備では、事前に手続の流れを整理しておくことが重要です。
※本記事は令和8年6月時点の法令・ガイドライン等をもとに作成しています。
個別の案件では、設備の内容や認定状況によって必要となる手続が異なる場合がありますので、実際の手続に際しては最新の公表情報をご確認ください。



