産業廃棄物では、「事前計画書」と「処理計画書」という似た名称の書類がありますが、この2つは根拠法令・提出目的・義務の有無がまったく異なる書類です。
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)を基に、両者の違い・記載内容・ポイントを解説します。
産業廃棄物に関する計画書は、法律で義務付けられているもの、許可・手続きに伴うもの、自治体独自の制度によるものに分類されます。
事前計画書とは(施設設置・許可前の計画)
事前計画書とは、主に産業廃棄物処理施設の設置や変更の前に提出する書類であり、自治体との事前協議のために用いられます。主に工事の発注者に対して、着工前に「どのような廃棄物が、どれくらい発生し、どう処理する予定か」を提示する書類です。
国土交通省の「建設副産物適正処理推進要綱」に基づき、公共工事では「再生資源利用計画書(実施計画)」および「再生資源利用促進計画書(実施計画)」として作成されることが一般的です。
全国統一の様式があるわけではなく、自治体ごとの制度(条例・要綱)に基づくものです。
根拠については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第15条(施設設置許可)、各自治体の条例・要綱(事前協議制度)に基づきます。
例えば、施設設置前には自治体との協議が必要となり、その際に事前計画書を提出します。
- 産廃許可の事前計画書の主な目的は次のとおりです。
- 周辺環境への影響確認
- 住民対応・紛争予防
- 許可審査の円滑化
- 産廃許可の事前計画書の主な記載内容
- 施設の概要(種類・能力)
- 設置場所・周辺状況
- 処理方法
- 搬入・搬出経路
- 環境対策(騒音・悪臭・水質等)

処理計画書とは
処理計画書とは、多量の排出事業者が毎年提出する法定書類(法定義務書類)です。
処理計画書は、廃棄物処理法に基づき、一定量以上の廃棄物を排出する事業者に作成・提出が義務付けられている法定書類を指すことが多いです。
根拠法令は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条第9項と同法施行規則 第8条の4の5です。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律からの引用です。
(事業者の処理)
9 その事業活動に伴い多量の産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者として政令で定めるもの(次項において「多量排出事業者」という。)は、環境省令で定める基準に従い、当該事業場に係る産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則からの引用です。
(多量排出事業者の産業廃棄物処理計画)
第八条の四の五 法第十二条第九項の環境省令で定める基準は、次に掲げる事項を記載した様式第二号の八による計画書を当該年度の六月三十日までに提出することとする。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 計画期間
三 当該事業場において現に行つている事業に関する事項
四 産業廃棄物の処理に係る管理体制に関する事項
五 産業廃棄物の排出の抑制に関する事項
六 産業廃棄物の分別に関する事項
七 自ら行う産業廃棄物の再生利用に関する事項
八 自ら行う産業廃棄物の中間処理に関する事項
九 自ら行う産業廃棄物の埋立処分又は海洋投入処分に関する事項
十 産業廃棄物の処理の委託に関する事項
処理計画書の対象者は、前年度の産業廃棄物発生量1,000トン以上、特別管理産業廃棄物 50トン以上のいずれかに該当する事業者です。
- 処理計画書の義務内容は次のとおりです。
- 処理計画書の提出
- 実施状況報告書の提出
- インターネット公表
- 処理計画書の記載内容は次のとおりです。
- 廃棄物の種類・発生量
- 減量化・再資源化計画
- 処理方法(委託先含む)
- 電子マニフェストの利用状況
提出期限は毎年、6月30日までです。
罰則としては、未提出・虚偽記載の場合は20万円以下の過料となります。
事前計画書と処理計画書の違い
| 項目 | 事前計画書 | 処理計画書 |
|---|---|---|
| 性質 | 任意(自治体制度) | 法定義務 |
| 根拠 | 条例・要綱・行政指導 | 廃棄物処理法 |
| 提出タイミング | 許可申請前 | 毎年 |
| 対象 | 施設設置・変更者 | 多量排出事業者 |
| 目的 | 許可審査・環境調整 | 廃棄物管理・削減 |
| 内容 | 施設・環境影響中心 | 排出量・処理実績 |
| 罰則 | 原則なし(許可に影響) | 過料あり |
事前計画書は「これからやる」計画なのに対して処理計画書は「毎年の排出・処理管理」です。許可・施設系は事前計画書、出・管理系は処理計画書となります。
その他の関連計画書
その他の関連計画書で混同しやすい書類は次のとおりです。
産業廃棄物処理計画実施状況報告書
処理計画書の実績報告であり、毎年提出義務があります。
事業計画書
許可申請用の場合です。収集運搬業・処分業許可で必要になります。取り扱う廃棄物・運搬方法等を記載します。
一般廃棄物処理計画
市町村が策定します。産業廃棄物とは制度が別になります。
管理票(マニフェスト)関連報告書
交付状況報告書などがあります。電子マニフェスト義務と関係があります。



