産業廃棄物の積替え保管とは?許可・基準・期間・違反など詳しく解説

コラム

産業廃棄物の「積替え保管」は、収集運搬業における制度ですが、許可要件や保管基準を誤ると重大な違反につながるリスクがあります。

産業廃棄物処理法に基づき、積替え保管の基本から申請手続き、保管基準、マニフェスト運用、違反リスク詳しく解説します。

産業廃棄物の積替え保管とは

産業廃棄物の積替え保管とは、収集運搬の途中で廃棄物を一時的に保管し、別の車両へ積み替えることをいいます。

通常、収集運搬業は「排出場所から処分先まで直行」するのが原則ですが、小口の荷物を大型車両にまとめて積み替えることで、輸送効率を向上させることができます。

ただし、あくまで「一時的保管」であること、最終処分や中間処理ではないこと、許可の範囲内で行う必要があることが重要です。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則からの引用です。

(一般廃棄物の積替えに係る基準)

第一条の四 令第三条第一号チの規定による環境省令で定める基準は、次のとおりとする。

一 あらかじめ、積替えを行つた後の運搬先が定められていること。
二 搬入された一般廃棄物の量が、積替えの場所において適切に保管できる量を超えるものでないこと。
三 搬入された一般廃棄物の性状に変化が生じないうちに搬出すること。

産業廃棄物収集運搬業と積替え保管

産業廃棄物収集運搬業には、積替え保管なしと積替え保管ありの2種類があります。

積替え保管を行う場合は、通常の収集運搬業許可とは別に、「積替え保管を含む許可」が必要です。

無許可で積替え保管を行うと、無許可営業となるため注意が必要です。

積替え保管と中間処理の違い

混同されやすい点として、「中間処理」との違いがあります。産業廃棄物の中間処理とは、収集・運搬された廃棄物を最終処分(埋め立て等)する前に行う、減量化、安定化、リサイクル目的の処理(焼却・破砕・分別・脱水など)です。最終処分場の負担軽減や有害物質の無害化に不可欠な工程であり、約8割の産業廃棄物がこの段階を経ます。

積替え保管 → 一時的保管+積み替えのみ
中間処理 → 破砕・焼却・脱水などの処理行為

中間処理に該当する場合は、産業廃棄物処分業許可(法第14条第6項)が必要になります。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律からの引用です。

(産業廃棄物処理業)
第十四条 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第十四条の三の三まで、第十五条の四の二、第十五条の四の三第三項及び第十五条の四の四第三項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

6 産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を処分する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

積替え保管のメリット・デメリット

  • 積替え保管のメリットは次のとおりです。
    • 輸送効率の向上(大型車への積み替え)
    • 運搬コスト削減
    • 長距離輸送の中継拠点として活用可能

小型のパッカー車などで集めた廃棄物を、大型トレーラーに積み替えて一気に運ぶことで、燃料代や人件費を削減できます。また、処分場の受け入れ時間外でも、自社倉庫に一旦保管することで翌朝の搬入が可能になります。

  • 積替え保管のデメリットは次のとおりです。
    • 設備投資が必要
    • 法規制が厳しい
    • 管理不備による違反リスクが高い

設基準が厳しく、近隣住民への説明が必要になるケースもありますし、保管基準の維持や、定期的な巡回・清掃などの手間が発生します。

積替え保管の保管基準

積替え保管には厳格な基準があり、廃棄物処理法施行規則第8条に規定されています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則からの引用です。

(産業廃棄物保管基準)
第八条 法第十二条第二項の規定による産業廃棄物保管基準は、次のとおりとする。
一 保管は、次に掲げる要件を満たす場所で行うこと。
イ 周囲に囲い(保管する産業廃棄物の荷重が直接当該囲いにかかる構造である場合にあつては、当該荷重に対して構造耐力上安全であるものに限る。)が設けられていること。
ロ 見やすい箇所に次に掲げる要件を備えた掲示板が設けられていること。
(1) 縦及び横それぞれ六十センチメートル以上であること。
(2) 次に掲げる事項を表示したものであること。
(イ) 産業廃棄物の保管の場所である旨
(ロ) 保管する産業廃棄物の種類(当該産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨を含む。)
(ハ) 保管の場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先
(ニ) 屋外において産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合にあつては、次号ロに規定する高さのうち最高のもの

主なポイントは次のとおりです。

飛散・流出・悪臭防止

囲い・シート等の設置
雨水対策(屋根・排水)

分別保管

種類ごとに区分
混合防止措置

表示義務

「産業廃棄物保管場所」の表示
管理責任者の明示

保管量の制限

許可容量を超えないこと

積替え保管の保管要件(施設基準)

許可取得には施設要件も重要です。

  • 積替え保管の主な要件は次のとおりです。
    • 周囲に囲いがあること
    • 見やすい表示板の設置
    • 地面がコンクリート等であること(浸透防止)
    • 排水設備の設置

各自治体の条例・要綱で自治体ごとに厳格な独自基準がある点に注意が必要です。

保管期間のルール

積替え保管は「一時保管」であるため、長期間の保管は禁止されています。

明確な日数制限は全国一律ではありませんが、「速やかに処理施設へ搬出すること」となっており、長期保管は不適切とされています。実際は、数日~数週間程度が目安とされることが多いです。

特に、過剰保管や放置状態は違反と判断されやすいです。

積替え保管の申請手続き

積替え保管を行うには、次の手続きが必要です。

許可申請(変更許可)

収集運搬業(積替え保管あり)へ変更

  • 積替え保管の主な提出書類は次のとおりです。
    • 事業計画書
    • 施設配置図
    • 保管容量計算書
    • 使用権限証明(賃貸契約等)
    • 周辺見取図
  • 積替え保管の主な審査のポイントは次のとおりです。
    • 生活環境保全への配慮
    • 技術的能力
    • 経理的基礎

なお、建築基準法や都市計画法(用途地域)に抵触しないか、消防法上の危険物に該当しないか等の確認も必須です。

積替え保管とマニフェスト制度

積替え保管を行う場合、マニフェスト(管理票)が必要です。

マニフェストは排出事業者 → 運搬業者 → 処分業者の流れを明確化し、積替え時も適正に引継ぎ記録が必要になります。電子マニフェストの場合も同様です。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律からの引用です。

(産業廃棄物管理票)
第十二条の三 その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(中間処理業者を含む。)は、その産業廃棄物(中間処理産業廃棄物を含む。第十二条の五第一項及び第二項において同じ。)の運搬又は処分を他人に委託する場合(環境省令で定める場合を除く。)には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者(当該委託が産業廃棄物の処分のみに係るものである場合にあつては、その処分を受託した者)に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票(以下単に「管理票」という。)を交付しなければならない。

委託を受けた場合の積替え保管

他社から委託を受ける場合は、委託契約書の締結、許可内容と一致していること、積替え保管の場所が契約に明記されていることが重要になります。

根拠法令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第十二条(事業者の処理)

自社の積替え保管の場合

自社排出の産業廃棄物の場合でも注意が必要です。

原則としては、法第14条第1項ただし書により、自社処理は許可不要ですが、他社分が混在すると許可が必要になり、実質的に収集運搬業と判断されることがあります。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律からの引用です。

(産業廃棄物処理業)
第十四条 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第十四条の三の三まで、第十五条の四の二、第十五条の四の三第三項及び第十五条の四の四第三項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

違反と罰則

  • 積み替え保管関連の主な違反事例は次のとおりです。
    • 無許可で積替え保管
    • 保管基準違反
    • 過剰保管
    • 不適正管理(飛散・悪臭)

罰則は、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金(廃棄物処理法第25条)となります。

法人の場合は両罰規定があります。(根拠法令:法第32条)

自治体ごとのローカルルール

積替え保管は自治体ごとの差が大きい場合がありますので注意が必要です。

事前協議が必要な場合や住宅地近接は厳格審査、近隣同意を求められるケースもあります。事前協議は多くの自治体で実施されています。

よくあるトラブル

  • 積み替え保管でよくあるトラブルは次のとおりです。
    • 保管量オーバー
    • マニフェスト不備
    • 許可内容と実態の不一致

行政処分(許可取消)になることもあるので注意が必要です。

以上、参考資料は、東京都の産業廃棄物収集運搬業許可申請の手引を使用しました。

Q&A

まとめを兼ねてQ&Aをつくりました。参考にしてください。